気になる韓国生活5「韓国の鉄道では何が起こるかわからない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

韓国の地方を鉄道で旅しているときの話である。乗った特急列車は全席指定だった。指定席券を買って乗り込むと車内はガラガラ。指定された号車にはたった1人しか座っていなかった。




そこは私の席!

たった1人の乗客。それはかなり高齢の女性だったが、私が車内に入ったときに、なぜかキョロキョロしていた。落ちつかない様子だ。
「もしや指定席券を持っていないのでは」
そう直感した。
車掌が検札に来るのを恐れているような素振りだった。
私は先客の女性の視線を感じながら、指定席券に書いてある自分の座席を探した。ようやく見つけたら、そこは女性が座っている席だった。
車内にはたった1人しか乗客がいないというのに……。
どうしたらいいのか。
躊躇はしたが、やはり決まりなので、私は声をかけた。
「すみません。そこは私の席なんですけど」
そう言った瞬間の、女性の豹変ぶりがすごかった。




ついさっきまでビクビクしていたのに、「席を移って」と促された途端に大きな声を出した。
「見てみなさい。ガラガラじゃないの。あんたも好きな席に座ればいいでしょ」
強い口調で私はおこられた。その剣幕に従うしかなく、私は自分の席を断念して、他の空いている席に移った。
冷静になれば、先客の言うとおりかもしれない。
車内はガラガラなのである。しかも、相手は相当に年配の女性。わざわざ移ってもらわなくても、私が気を利かせればよかった。たとえ、女性が指定席券を持っていなかったとしても。
杓子定規だったようだ。
日本的には「決まりは決まり」なのだが、ここは韓国だった。なにごとにおいても、現実にそくして融通を利かせる国なのである。
もう一つ、別のエピソード。
ソウルから大邱(テグ)まで、在来線の急行列車に乗った。全席指定だったが、満席で席を取れない。当時は立席特急券というものがあった。立ちっぱなしを覚悟して乗るのである。




私は乗車するとすぐに食堂車に行き、ビールを飲みながら粘った。大邱まで4時間、何本のビールを飲んだことだろうか。
よく見ると、私と同じ目的の乗客が何人もいた。
3時間が過ぎた頃にはみんないい気持ちになって、そのうち歌い始める人もいた。その人はなんと、ギターまで持っていた。
私も大いに歌った。しまいに食堂車がカラオケルームのようになった。しかも、生ギターの伴奏つきである。
あんな騒々しくて楽しい車内は、後にも先にも他になかった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

気になる韓国生活1「韓国には老舗がほとんどない!」

気になる韓国生活2「食べ残す韓国、残さない日本!」

気になる韓国生活6「舟盛りVS大皿いっぱい盛り」

関連記事

  1. こんなことまでするの? 日本と違う韓国の飲食マナー(特別編)

  2. 気になる韓国生活13「歴史からどんな教訓を学ぶことができるのか」

  3. 韓国女性の生き方〔第8回〕

  4. 気になる韓国生活4「すべての一族が家系書を作り続けた国」

  5. 韓国の暮らしで感じること7「ソメって知っている?」

  6. 気になる韓国生活15「韓国で鍋をみんなで食べるときにビックリする食べ方は?」

  7. ソウルに転勤となった日本人社員がホトホト困ったことは?

  8. 韓国の食べ方は日本とは大きく違っているが具体的には何?

  9. 気になる韓国生活8「祭祀は一族の結束を固める」

PAGE TOP