韓国人の名前で代表的な例を言うと、現在の70代前半の男性は「永(ヨン)」という漢字が入った名前が多く、女性は「子(チャ)」という漢字を持った名前が多いようです。それは、なぜなのでしょうか。
繁栄への希望を感じる名前
韓国人の名前も、時代によってかなり違います。
韓国が日本の植民地支配から解放された1945年に生まれた男性で一番多い名前は、ヨンス(永洙など)で、2位がヨンホ(永浩など)、3位がヨンシク(永植など)、4位がジョンウン(正雄など)、5位がヨンギル(永吉など)、6位がヨンイル(永一など)と続きます。
4位のジョンウンを除き、「ヨン」の字が多いのが目に付きます。「ヨン」には、永、英、栄などの漢字が当てはまりますが、特に「永」の字が多かったようです。1945年というと、第2次世界大戦が終わった年で、当時の男性の平均寿命は35歳程度だったといいます。末永く生きてほしいという、親の願いがこもっているのです。
この年に生まれた女性では1位がヨンジャ(永子など)、2位がチョンジャ(正子など)、3位がスンジャ(順子など)、4位がチュンジャ(春子など)、5位がキョンジャ(慶子など)といった具合に、名前の上位10位のうち、「子」の付く名前が9つを占めます。この時代はまだ、日本の名前の影響を強く受けていました。
ところが、1975年生まれの女性ではトップ10に、「子」の付く名前は一つもありません。ちなみに1位はミヨン(美映など)、2位はウンジョン(銀貞など)、3位はウンジュ(恩珠など)、4位はウニョン(銀英など)、5位はヒョンジュ(賢珠など)、6位はウンギョン(銀京など)と続きます。
上位で目立つのは「ウン」の字。漢字では「銀」か「恩」ですが、経済成長が始まりだした時期で、繁栄への希望が感じられます。
1975年に生まれた男性の名前は、1位はジョンフン(正勲など)、2位はソンホ(成鎬など)、3位はソンフン(成勲など)、4位はソンジン(成鎮など)、5位はジョンホ(政昊など)、6位はサンフン(尚勲など)が続きます。立身出世を目指す、「成」とか「勲」といった漢字が目立ちます。
さらに、2005年に生まれた人の名前のトップ5は、男性の1位がミンジュン(敏俊など)、2位がヒョヌ(賢佑など)、3位がトンヒョン(東鉉など)、4位がチュンヒョク(埈赫など)、5位がミンジェ(敏宰など)で、女性は1位がソヨン(瑞研など)、2位がミンソ(珉緒など)、3位がソヒョン(瑞賢など)、4位がスビン(秀賓など)、5位がユジン(裕珍など)となっています。
最近の名前の特徴は、男女の区別がなくなったこと。例えば、女性なら美、花、淑、姫などの漢字を使った名前が多かったのですが、最近は少なくなりました。
また、「ウリ」や「ハヌル」など、漢字を伴わないハングルだけの名前が増えてきたのも、最近の特徴です。
文=「ロコレ」編集部