韓国ドラマ『悪の花』は、連続殺人犯の疑いをかけられた夫とその疑いを晴らすべく奔走する刑事の妻の葛藤が描かれている。愛する夫の過去を探るにつれ、疑惑が生じていく……。ゾクゾクするほど恐ろしいサスペンスラブストーリーだ。
本当の自分に戻れる日が訪れるのか?
金属工芸家のペク・ヒソン=ト・ヒョンス(イ・ジュンギ)は、刑事である妻のチャ・ジウォン(ムン・チェウォン)と愛娘のペク・ウナ(チョン・ソヨン)の3人で幸せに暮らしている。
ヒソンは刑事である妻を助け、家事も子育ても完璧にこなす良い夫、良い父親だ。
だが、彼には隠したい過去がある。
父親が18年前の連続殺人事件の犯人なのだ。
それゆえにヒソンも「共犯者では?」と疑われる。
残酷な人生から逃げるように別人として今を生きている。
そんなヒソンには感情や愛情というものが、どういったものなのかわからない。
笑い方、泣き方すべてがわからずにYouTubeをみて練習している。
妻に対する愛情も演技なのか。
ヒソンを演じるイ・ジュンギの迫真の演技には凄みを感じる。
あまりの恐ろしさに途中で見るのをやめようかとさえ思うのだが、先が気になり引き込まれてしまう。
音楽との相乗効果もあり、ハラハラドキドキが止まらない。
罠をかけたつもりが罠にはめられたり、サイコパスの人間がいたり、亡くなった父親が見えたり、盛りだくさんのサスペンスドラマだ。
また、最愛の夫が殺人犯かもしれないと疑いながら、過去を探り苦悩する妻を演じるムン・チェウォンも素晴らしい演技をしている。
殺人犯だとしても愛し続けられるのか?
夫の無実を証明することができるのか?
さまざまな葛藤の中で揺れ動く切ない感情を見事に演じている。
予測不能なこのドラマの中で、唯一癒されたのが愛娘のウナだ。
ウナは父ヒソンが大好きな笑顔の可愛い女の子だ。
この可愛い愛娘のためにも、「どうか平穏な日々が訪れますように!」と願う。
改めてイ・ジュンギの演技力を再認識する『悪の花』は、最後まで飽きさせない何が起こるかわからないドラマだ。
周りを固める俳優たちの不気味な存在にも注目だ。
ヒソンが本来の人生を歩めるのか?
ジウォンを心から愛せるようになるのか?
迫りくる危険にハラハラしながらも最後まで見ずにはいられないドラマだ。
文=須坂のりこ