『オクニョ』追憶の歴史解説4「典獄署の実態」

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『オクニョ 運命の女(ひと)』の中でチン・セヨンが演じたオクニョは、典獄署(チョノクソ)で生まれて育ったことになっていた。それだけに、典獄署はこのドラマで重要な舞台であった。果たして、典獄署とは何であろうか。

画像=MBC




朝鮮王朝時代の刑罰

朝鮮王朝時代に、行政の最高機関のことを「議政府(ウィジョンブ)」と言ったが、この議政府には6つの官庁があった。これを六曹(ユクチョ)と呼んだ。
六曹の1つが刑曹(ヒョンジョ)であり、法務全般から刑罰までを仕切る官庁だった。この刑曹に所属する役所の1つが典獄署だ。
それでは、典獄署では何をしていたのか。
罪を犯した囚人たちを拘束すると同時に、裁判によって決まった刑を執行する役目を負っていたる。
現代に置き換えれば、典獄署は刑務所と同じである。
この典獄署は、どんな者たちが収監されていたか。
朝鮮王朝時代、刑罰には5種類があった。
刑が重い順に言うと、死(サ/死刑のこと)、流(ユ/遠方に流罪にする刑)、徒(ト/つらい重労働をさせる刑)、杖(チャン/杖で叩く刑)、笞(テ/笞で打つ刑)であった。




こうした刑罰の中で「笞」に該当する者は収監されることはなかった。つまり、典獄署の監獄に入っていたのは「杖」以上の罪に問われていた者たちであり、やがて、「流」の者は遠方へ流罪となり、「死」の者は死刑になってしまった。
『オクニョ 運命の女(ひと)』には捕盗庁(ポドチョン)がよく登場する。この役所は、果たして何をするところなのだろうか。
朝鮮王朝の官庁制度によると、現在の警察組織のような任務を帯びていた役所には、刑曹(ヒョンジョ/法務や刑罰を担当)、義禁府(ウィグムブ/王命に従って罪人を取り調べた)、司憲府(サホンブ/官僚の不正を糾弾したり風紀を守るために活動した)などがあった。
それとは別に、盗賊や犯罪人を捕まえるために、捜査や検挙を主な任務とした官庁が捕盗庁である。
この捕盗庁の中で、実際に現場で任務に当たっていたのは捕盗軍士(ポドグンサ)と呼ばれる人たちで、彼らは常に都を巡回していた。
捕盗軍士は腰に赤くて太い縄を付けていて、罪人を捕まえたときにはその縄でしばりあげた。
このように、腰に付けた赤い縄が捕盗庁の職員であることを象徴する品だった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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