パク・ソジュンの肖像/『韓国ドラマ!愛と知性の10大男優』が描く世界

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パク・ソジュンは『梨泰院クラス』でどんなヒーローを演じたのだろうか。『韓国ドラマ!愛と知性の10大男優』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/星海社)を通して、パク・ソジュンの魅力について迫ってみよう。

画像=JTBC




妥協できない男

2020年1月31日から韓国JTBCで放送された『梨泰院クラス』は、社会現象を巻き起こすほどの注目を集めた。
ドラマが成功する原動力になっていたのは、パク・ソジュンが扮するパク・セロイのキャラクターだ。彼は絶対に妥協できない頑固者だ。
話はパク・セロイが高校生のときにさかのぼる。
彼は、転校した初日にひどいいじめを目撃する。いじめていたのは外食産業の巨大企業チャンガ・グループの御曹司で、先生も見ないふりだった。それをいいことに、御曹司のいじめはひどくなる一方だった。
見かねたパク・セロイが必死に止めたのだが、相手が聞こうとしなかったので手を出してしまった。
御曹司の父親であるチャン・デヒ会長が立場を利用して校長室にやってきて、パク・セロイに土下座を要求した。彼が会長を務めるチャンガ・グループにはパク・セロイの父親が勤務していて、その父親も同席させられた。




そのときパク・セロイはどうしたか。彼が土下座をしていれば退学は免れたし、父の仕事も安泰だった。
しかし、パク・セロイはあえて土下座をせず、すべてを失う羽目になった。本当に不器用な男なのだ。
とはいえ、強い信念を持っていた。間違った妥協をしない。そういったパク・セロイの生き方が、『梨泰院クラス』の全編を貫いている。
パク・セロイには不運が続く。最愛の父が殺され、自分も刑務所にぶち込まれる。すべては御曹司の父親のせいだった。
そんな相手に復讐を誓うパク・セロイ。そして、自分が大金持ちになってみせるという野望を持つ。その手段のために、やがてパク・セロイは梨泰院(イテウォン)で勝負をかけることになる。
そこは、多くの国籍の人たちが集まる賑やかな街だった。その中で、パク・セロイは自由な精神を取り戻していく。
再び希望に燃えた彼は、意気投合した仲間たちと大きな夢に向かって走り出した。何よりも、パク・セロイは現実を変えていくパワーを持っていた。




そんな彼が標的にしたチャン・デヒ会長。2人の激突が『梨泰院クラス』の中心ストーリーになっていった。そして、パク・セロイは人生のすべてをかけて巨大な敵に挑んでいく。
混沌とした現代社会。待ち望まれるヒーローというのは、パク・セロイのように、損得を抜きにして自分の大望に向かって突き進んでいく男なのである。
こんなパク・セロイに、勇気をもらった人が多いことだろう。だからこそ、『梨泰院クラス』は最終話まで人々を刺激し続けたのだ。そして、パク・ソジュンは魂を揺さぶられる最高のドラマで、圧倒的な存在感を見せて俳優の底力を見せてくれた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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