Netflix(韓国JTBC)で配信されている『私の解放日誌』はミジョン(キム・ジウォン)とク氏(ソン・ソック)がお互いを崇め合い前進することで希望的なエンディングとなった。ギジョン(イ・エル)はテフン(イ・ギウ)との愛を貫く決心をし、視聴者を安心させた。そして、最も意表を突かれたのがチャンヒ(イ・ミンギ)の崇高な解放だった。
未来を暗示させる結末
『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の脚本家がペンを執ったことで期待が大きかった本作は好評のうちに幕を閉じた。主人公たちがそれぞれの解放に向け前進したことは視聴者に希望を持たせるエンディングになったであろう。
正直、個人的には初めのうち少々違和感を拭えなかった。本作の主人公たちは『マイ・ディア・ミスター』のジアンのように不遇な人生を送っているわけでもない。通勤に遠いとぼやいてはいるものの、健康な体を持ち、ソウルにあるそこそこの会社に勤務し、家族にも恵まれて暮らしている。
それなのに彼らの言う解放とはいったい何なのか?という疑問をずっと持っていた。それと同時に、この緩急のないストーリーをどのように膨らませ着地させるのだろうと妙に興味が沸いてきた。
繰り返しになるが端から見ると彼らの暮らしはとても恵まれているように思える。考え方一つ変えればいいのでは?とも言いたくなるがそう簡単にはいかない。
端からはいくら贅沢な悩みだと思われてもどうにも払拭できないコンプレックスが誰にでもあるものだし、代わり映えのしない日常ではどうしてもそのコンプレックスに焦点が当たってしまいがちだ。
そんな淡々と進んでいたストーリーが終盤で一気に加速していく。彼らが当たり前に過ごしてきた日常が家族との突然の別れによって一変してしまうのだ。当たり前だと思っていたことは実は当たり前ではなかったとここで気付かされる。本作の脚本家であるパク・ヘヨンも夫を急に亡くした経験があるという。
ミジョンとク氏、そしてギジョンもそれぞれの解放に向けて歩き出したが、最も意表を突かれたのはチャンヒの崇高な解放だった。どことなくダメ男感を漂わせていたチャンヒだったが、ときに哲学的でハッとさせられる名言をさりげなく言ったりする人物だ。
ヒョナ(チョン・ヘジン)の元彼の病院を訪れたチャンヒは、彼がもうすぐ亡くなると直感で察知する。チャンヒは祖父母と母の死に目に会えた時の気持ちを思い出し、ヒョナの元彼の旅立ちをしっかりと手を握って見送った。人の死に目に何度も出会えたことが自分の運命だと感じたチャンヒは、偶然に導かれるように葬礼指導士の講義を聞くことになる。
人は自分が生まれる時、今世でどんな人生を辿るか自分自身で決めて生まれてくると聞いたことがある。それがどんな人生であれ、人は自ら決めてきた人生を精一杯生き切ってあの世に旅立つ。人が魂に戻る最終段階の崇高な解放だ。チャンヒはこれまでの人生を振り返り、人の最期の旅立ちに寄り添う道に就こうとする。チャンヒのそんな未来を暗示させる結末となった。彼が選んだ解放は最も崇高な解放だったのだ。
文=朋 道佳(とも みちか)
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