ソウル郊外に住む三兄妹の日常を描いた『私の解放日誌』が話題だ。本作で異彩を放つ役柄に扮しているのはソン・ソックとイエル。この二人がかつて夫婦役を演じたドラマがある。それは『東京ラブストーリー』を手掛けた坂元裕二氏脚本の『最高の離婚』韓国版である。
贅沢な個性派俳優が勢揃い
『私の解放日誌』は代わり映えしない日常から抜け出したいと願う三人兄妹が自由と生き甲斐を求めて奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。本作の中で異色な魅力を放つ俳優はなんといっても主人公たちの隣人ク氏を演じるソン・ソックだ。また、三兄妹の中で異彩を放っているのがギジョン役のイエル。そんな2人がかつて夫婦役を演じていた作品があるのでご紹介したい。
ソン・ソックとイエルが夫婦役を演じた韓国ドラマは、チャ・テヒョン、ペ・ドゥナ主演の『最高の離婚~Sweet Love~』だ。本作は「結婚は本当に愛の完成形なのか?」という問いから始まり、愛、結婚、家族に対する男女の考え方の違いを痛快に描いた作品。日本ドラマを原作とするラブコメディである。『最高の離婚』の原作を手掛けたのは『東京ラブストーリー』の坂元裕二氏。『最高の離婚』日本版では瑛太(現:永山瑛太)、尾野真千子、綾野剛、真木よう子が主演し好評を博した。
本作ではチャ・テヒョンとペ・ドゥナが離婚後も同居する元夫婦を演じ、ソン・ソックとイエルが婚姻届を出さずに生活する夫婦を演じている。この2組の男女が出会い、愛情と友情が交錯する奇妙な四角関係に発展していく。
『最高の離婚~Sweet Love~』は、脚本で作品を選ぶと言われるチャ・テヒョンが、ペ・ドゥナが出演すると知り引き受けた作品だそう。日本の名脚本家のシナリオに韓国ドラマのいい要素が加わり一層味わい深い作品となっている。
ベテランの域に達したチャ・テヒョンとペ・ドゥナの息の合った掛け合いを見ていると本当に贅沢なキャスティングだと痛感する。加えて、今話題のソン・ソックとイエルの甘い夫婦役も見どころだ。イエル扮するユヨンは自分なりの世界観を持ちながらも控えめで品のある女性。
一方、ソン・ソック扮するイ・ジャンヒョンは大人になりきれない不器用な男である。どことなく愛に臆病な男をソン・ソックが独特な存在感で演じている。『私の解放日誌』のク氏ほどではないが『最高の離婚』のソン・ソックもどこか謎めいている。『最高の離婚~Sweet Love~』を視聴した際「この俳優は誰だろう?」とソン・ソックのつかみどころのない雰囲気がやけに気になったのを思い出した。
失って初めて相手の大切さに気付くというのが本作のテーマ。ファンタジー感は皆無だがそれだけにリアルで、温かさがじんわりと伝わってくる。
歌うま俳優チャ・テヒョンの歌う挿入歌もドラマの世界観にマッチしていて雰囲気も抜群だ。ドラマ放映時の視聴率は正直高くはなかった。こんな贅沢な個性派俳優が勢揃いした本作はツウ好みなのかもしれないが見ないのはもったいない。
文=朋 道佳(とも みちか)
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