トッケビに出会う幸せ「第3回・希有な存在感」

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落差こそが人間的な魅力

それにしても、コン・ユが出演を決めた際にキム・ウンスク作家に送った「こんなに小心で怖がりなトッケビ(鬼)でも大丈夫であれば、一緒にやりましょう」というメッセージは面白い。
実際に、『トッケビ』の中でコン・ユが演じているキム・シンは「小心で怖がりなトッケビ」そのものではないか。
確かに、キム・シンは900年以上も前の高麗時代に王に裏切られて胸に剣を刺された将軍だった。しかし、現代まで生き続けている彼は、同居する死神とは小さいことでいつもモメているし、胸の剣を抜いてくれるかもしれない高校生のウンタクに次々と攻め込まれてタジタジになってしまっている。
背負っている宿命は重いのだが、現代に生きる男にしては小心の部分が多いのだ。
その落差がまたキム・シンの人間的な魅力になっているのだが、コン・ユはそんなキム・シンを「ときに馬鹿がつくほどに真面目に、ときに見ている人がハラハラするほどに不器用に」演じている。




キム・シンという特異な存在を自然体で演じられるところがコン・ユの俳優としての魅力である。
彼は、天性の俳優というわけではない。むしろ、自分のすべてを注ぎ込んで少しずつ成長してきた俳優だ。
しかし、その成長の陰には数多くの苦悩があった。
端的に言えば、妥協することができれば、コン・ユは芸能界という浮き沈みの激しい世界で、もっと巧みに立ち回ることができたはずだ。
しかし、彼は自分を抑えて妥協してまで、この世界で小さな成功をおさめようとは思っていない。
それが、何事にも全力を尽くすコン・ユという俳優なのだ。
演技に対する心情はどこまでも純粋で真摯だ。多くの脚本家や監督からオファーを受けるのも、その姿勢が厚く信頼されているからだ。
そして、『トッケビ』でまたコン・ユは、希有な存在感を持った俳優であることをドラマを通して証明した。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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