『二十五、二十一』の主人公はキム・テリが演じるナ・ヒドと、ナム・ジュヒョクが扮するペク・イジン。2人には4歳の年齢差があるという設定だ。しかし、ナ・ヒドはペク・イジンにずっとパンマル(タメグチ)を使っていた。本来なら、ありえないのだが……。
生意気なナ・ヒドが好き
ナ・ヒドがペク・イジンにパンマルを使うようになったのは、出会いのシーンが関係ありそうだ。
それは、新聞配達をしていたペク・イジンがナ・ヒドの家に新聞を投げ入れたときだった。その新聞が庭に会った置物の一部を破損してしまった。
目撃したナ・ヒドは感情をむきだしにして、新聞を投げた張本人に文句を言った。それでパンマルになったのだが、言われたペク・イジンもそんなに不快な表情を見せなかった。それで、ナ・ヒドが図に乗った部分はあっただろう。
以後、ナ・ヒドはペク・イジンにパンマルを使い続けた。とにかく「お前」呼ばわりなのであった。
長幼の序にうるさい韓国では、年上に対するパンマルはご法度である。それなのに、ナ・ヒドは違った。しかも、絶対に怒るところをペク・イジンは平気だった。むしろ、ナ・ヒドに対して「そういう生意気なところがいいんだ」と言う始末。本当にペク・イジンは常識にとらわれない男だ。
最終回の別れの場面で、ペク・イジンがナ・ヒドの生意気なところを咎(とが)めることがあった。それに対してナ・ヒドは「そういうところがいいと言っていたのに」と声を荒げていた。
そうなのだ。ペク・イジンはナ・ヒドのパンマルが本当に好きだったのだ。まさに、「パンマルの快感」をペク・イジンはナ・ヒドに対してずっと感じていたに違いない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
人間に肯定的に向き合えるドラマ/とてつもない傑作物語『二十五、二十一』16