ドラマ『二十五、二十一』の第10話では、ドキュメンタリー番組を作っているペク・イジン(ナム・ジュヒョク)がナ・ヒド(キム・テリ)とコ・ユリム(キム・ジヨン)に修学旅行を提案し、ジウン(チェ・ヒョヌク)とスンワン(イ・ジュミョン)を加えて合計5人で海に出かけていくシーンが描かれた。
最高の海辺
夏の海に入って賑やかに水浴びをする4人。砂浜で見ていたペク・イジンも無理に引っ張られて、海に投げ込まれる。無邪気で底抜けに賑やかなシーンだ。
それぞれの家庭の事情が描かれ、お互いの心をさらに通わせた5人は、砂浜に座って一緒に夕暮れの海を見つめた。
ナ・ヒドが言う。
「ああ、この瞬間が永遠のようだね」
優しくうなずきながらペク・イジンが答える。
「永遠になるのさ」
最高の笑顔を見せるナ・ヒドが声を重ねる。
「永遠にしよう」
映像は海辺で夕暮れの海を見ている5人を後ろから引いて映している。
そのときの映像の四隅に影が現れている。まるで、遠い過去を懐かしく思い出しているかのように……。
そして、画面が切り替わる。
現在の41歳のナ・ヒドが娘のミンチェと車に乗っている。
ミンチェが5人で行った夏の思い出を尋ねても、現在のナ・ヒドは意外なことを言う。
「私がみんなと海に行った? 記憶にないけど」
そのうえで淡々と言い放つ。
「永遠なんて、どこにある? すべてのことは一瞬だし、流れていくものよ。でも、それは悪いことばかりではない」
こうして終わった第10話は謎めいている。
なぜ、ナ・ヒドは永遠の夏を忘れているのか。
いよいよ『二十五、二十一』の物語が佳境に入っていく。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
セリフがない二分半/とてつもない傑作物語『二十五、二十一』7