『夜を歩く士(ソンビ)』でイ・ジュンギは、王の守護鬼として120年間も生きていくヴァンパイアに扮している。彼は「実際にヴァンパイアは存在しませんが、リアルさが大事です。視聴者のみなさんがリアリティを感じられるように演技しました」と語った。
自分のカラーを持つ
確かに、イ・ジュンギの演技には「こんなヴァンパイアがいるかもしれない」と思わせる現実味があった。彼の意図は成功したといえるだろう。
その後もイ・ジュンギは意欲的にドラマの主演を続けた。
彼の場合、撮影時にファンの方々が熱心に差し入れをすることで有名だ。『夜を歩く士(ソンビ)』の撮影のときも、その慣例はしっかり守られた。イ・ジュンギも心から感謝している。
「おかげ様でスタッフの方々もお腹いっぱいになれましたし、ぐったりするほど蒸し暑い真夏だったのに力が出ました。本当に、現場の雰囲気もよくなりました。やっぱり、忙しい現場なのでまともに食事もできず、次第に機嫌が悪くなったり疲れたりすることがあるんですよ。その度にファンの方々が大きな愛情で力をくださるので、とても感謝しています」
俳優としての力量、そして、人間イ・ジュンギの美しい魅力に惹かれたファンが、率先して彼を支え、少しでもその力になりたいと願っている。これほど多くのファンに支えられている俳優も少ないだろう。
そんなイ・ジュンギに関して、映画『王の男』でブレークする前にインタビューしたことがある。それは、2004年8月のことだった。
そのインタビューの中で、イ・ジュンギは「目標にしている俳優は?」と尋ねられて、こう答えていた。
「目標の俳優を決めて、その人のような存在になろうとは思っていません。この世界には多くの先輩俳優がいて、それぞれの方が自分のカラーを持っていらっしゃいます。確かに、先輩たちのいい部分を一つずつ学んでいきたいと思っていますが、特別に誰かというふうに考えないで、とにかく自分の不足している部分を探していきたいという気持ちが強いですね」
まだブレークする前に、イ・ジュンギは独自の俳優哲学を持っていた。
それは、誰か大物の俳優を模倣するのではなく、あくまでも自分の独自の演技スタイルを確立するという決意表明でもあった。
そのインタビューの翌年にイ・ジュンギは映画『王の男』で大人気となり、その美貌は多くの人たちを虜にした。その後の大活躍は周知の通りである。
構成=「ロコレ」編集部
イ・ジュンギの20年を振り返る2「多くの人に支えられた俳優人生」
イ・ジュンギの20年を振り返る4「『麗<レイ>』は時代劇の傑作!」