親切でお節介な人たち
1万ウォン札を入れるとポコッと出てきたのは、漫画で幸せそうな家族を描いたカラフルなカードだった。
あわてて、さっきのハラボジが寄ってきた。
「アンタ、それ、宝くじだよ。両替するなら、その右の機械!」
確かによく見ると、両替機は宝クジの機械の右側にあった。それにしても、機械の配置があまりにまぎらわしい。おかげで、釜山に来て初めて買ったものが「宝クジ」という有様になった。
「ハラボジ、さっそく釜山でお金をたくさん使いましたよ」
そう言うと、ハラボジは「当たったら私にも分け前をくれよ」と言って満足そうに大笑いした。
ようやく切符を買い終わると、ハラボジはもう別の観光客の背後に忍び寄って、何かあればサッと駆けつける態勢を整えていた。
「あなどれないね」
そう思った。
こういう親切でありお節介な人が、ソウルや釜山にとても多い。かくして、観光客は韓国の人たちの情にたっぷり触れるのである。
文=「ロコレ」編集部