シム・ウンギョンとダブル主演となった松坂桃李は『新聞記者』で何を演じたのか

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信頼できる人間性

『新聞記者』の公開に合わせて、松坂桃李とシム・ウンギョンのインタビュー記事をいくつか読んだ。松坂桃李は以前から、『サニー 永遠の仲間たち』と『怪しい彼女』を見ていて、シム・ウンギョンのことを「一つの表情からいろいろな感情が伝わってくる」と高く評価し、彼女と共演できることも『新聞記者』への出演を決めるポイントになった、と語っている。
「まさかウンギョンさんと共演できるとは……。すごくうれしかったです」
そう語る松坂桃李は、探究心にすぐれた俳優だ。そして、謙虚だ。
それゆえに、不本意な職務に苦悩する官僚の葛藤を、自分自身の苦悩として演じることができたのであろう。
いまの時代の俳優は、カメラが回っていないときの自分も常に問われるのではないか。カメラの前でいくら演じても、あふれる情報に接して人間の裏を見すぎた現代人は、すぐに見透かしてしまう……。
その点で、松坂桃李は信頼できる人間性を持っている。




名前の「桃李」は、父親が付けてくれたという。『史記』にある「桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す」(桃や李〔すもも〕の下は自然と人が集まって道ができる)という言葉に因んでいる。
今回の『新聞記者』での松坂桃李の演技は、間違いなく、「蹊を成す」一歩になるだろう。

文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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