光海君(クァンヘグン)の栄光と転落/朝鮮王朝人物実録1

このエントリーをはてなブックマークに追加

惨めな余生

さいはての地に送られたことにショックを受けた光海君は、島に着いて慟哭(どうこく)した。役人が「ご在位中に悪い官僚たちに惑わされなければよろしかったのに……」と必死に慰めたという。
気を取り直したあと、光海君は済州島で生き続けた。




先王としての尊厳を守られたとは言えなかったが、屈辱を胸にしまって島の暮らしになじもうとした。
世を去ったのは1641年で66歳だった。王宮を追われてから18年の歳月が過ぎていた。あの燕山君が島流しにあって2カ月ほどで息絶えたのとは正反対だった。
その後、光海君に対する歴史的評価はかなり変わった。今では、彼の政治的な業績を評価する風潮になってきた。
実際、クーデターの首謀者で光海君のあとに王位についた16代王・仁祖(インジョ)は、統治に大失敗した。その結果、朝鮮王朝は後金(後の清)の侵攻を許して屈辱的な謝罪を強いられている。
もし光海君が続けて王位にいれば、朝鮮王朝は屈辱にまみれることはなかっただろう。もっと光海君に政治をまかせれば良かったのだが……。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

朝鮮王朝おもしろ人物列伝(15代王・光海君編)

光海君(クァンヘグン)!再評価される暴君

光海君(クァンヘグン)と臨海君(イメグン)!兄弟同士の骨肉の争い

『華政(ファジョン)』に登場!光海君(クァンヘグン)の実像〔第1回〕

光海君(クァンヘグン)の末路!廃位になった後どうなった?

ページ:
1 2

3

関連記事

  1. 憎まれすぎた悪女の張緑水(チャン・ノクス)/朝鮮王朝人物実録8

  2. 超話題の『マンガでわかる!韓国時代劇のすべて』!

  3. 鬼のような文定(ムンジョン)王后/朝鮮王朝人物実録6

  4. 非道な王位強奪を強行した世祖(セジョ)/朝鮮王朝人物実録10

  5. 傲慢で執念深い燕山君(ヨンサングン)/朝鮮王朝人物実録9

  6. わがまま放題の粛宗(スクチョン)/朝鮮王朝人物実録5

  7. 中宗(チュンジョン)は不本意な王だった/朝鮮王朝人物実録2

  8. 悪の手先だった鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)/朝鮮王朝人物実録7

  9. 仁祖(インジョ)は復讐の鬼と化した/朝鮮王朝人物実録4

PAGE TOP