康熙奉(カン・ヒボン)著の『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(実業之日本社)が発行されました。この本には、韓国時代劇に登場する様々な国王が紹介されています。同書を通して、朝鮮王朝の国王にスポットを当ててみましょう。
王の毒殺説
政治から見た朝鮮王朝の一番の特徴は、「王が統治する中央集権国家」だったということです。
日本の江戸時代は、幕府が各藩の大名を支配するという封建的な幕藩体制が政治機構になっていましたが、朝鮮王朝は王の直接的な支配が国土の隅々に及ぶ中央集権体制になっていました。
その中で頂点に位置する王は、今で言えば、大統領であり、総理大臣であり、最高裁判所長官であり、警察庁長官でした。
すべての権力を握っていました。それだけに、「どんな王が統治していたか」ということは、その時代を理解する上できわめて重要です。
とにかく、王は激務でした。
こなさなければならない仕事が1万種もあったと言われています。起きてから寝るまで執務に追われて疲労困憊だったようです。
27人の王の平均寿命は約46歳。当時としては最高の医療を受けて極上の食事をしたわりには長生きしていません。
もっとも、運動不足と栄養過多で口内炎が多かったと言われています。むしろ、粗食のほうが長生きしたかもしれません。
王の中で最も在位期間が短いのは12代王の仁宗(インジョン)で約8カ月です。1年も玉座に座れなかったのですが、彼の場合は毒殺された可能性が非常に高い、と言われています。
継母が自分の息子を王位につけるために、血がつながっていない仁宗に一服盛ったというわけです。このような話が朝鮮王朝の歴史にはゴロゴロしています。
27人の中で「毒殺された」と噂されている王は何人もいます。それだけ王位争いが激しかったのです。
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