恐るべきトッケビ
1274年、元寇が九州で始まったが、台風で壊滅的な被害を受けたこともあり、元の日本侵攻は失敗に終わった。その後、元は次第に国力が衰え、朝鮮半島から退却した。かわって、高麗を苦しめたのが海賊集団の倭寇だった。各地の海岸に出没して大きな被害をもたらした。
倭寇を鎮圧する過程で実績をあげてきたのが、高麗の武将だった李成桂(イ・ソンゲ)である。
1368年、中国大陸では元にかわって明が統一国家を築いたが、高麗では、北方に退却した元を支持する一派と、明を支持する一派が対立した。その間隙を突いて李成桂は開京を陥落させ、政治的に第一人者となった。
最後は、高麗の34代・恭譲(コンヤン)王が李成桂によって追放されて、1392年に朝鮮王朝が誕生して高麗は滅んでしまった。
以上が高麗の歴史だが、『トッケビ』でコン・ユが演じているキム・シンは、1080年頃に生まれたという設定になっている。そして、キム・シンが将軍として活躍した12世紀前半であれば、高麗時代では16代王の睿宗(イェジョン/在位期間は1105~1122年)の統治時代であった。
そんな時代から生き続けているという設定のキム・シン。まさに、恐るべきトッケビである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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