韓国時代劇で一番印象に残るキャラクターは誰か。そういう質問を受けたら、チャングム(長今)と答える人が一番多いはずだ。しかし、『雲が描いた月明り』が人気を獲得してからは、新たにイ・ヨンが印象深いキャラクターに浮上してきた。
イ・ヨンのモデルは誰?
2016年に韓国で制作された『雲が描いた月明り』は、時代劇として画期的な作品でもあった。
原作はウェブ小説で、ドラマもファンタジーな要素が強かったのだが、史実を生かしたストーリーは重厚でさえあった。
国王を上回る高官の権力、世子(セジャ)による代理聴政(テリチョンジョン/摂政のこと)、王族女性の暗躍、反乱主導者の動向……など、朝鮮王朝を揺るがした出来事が物語の中に巧みに組み込まれていた。
何よりも特筆すべきは、あの孝明世子(ヒョミョンセジャ)を主人公のモデルにしていることだ。つまり、『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じたイ・ヨンは孝明世子のことなのだ。
1809年に生まれた孝明世子は、朝鮮王朝の数多い世子の中でもっとも聡明であったと言われている。実際に父の純祖(スンジョ)の代理として政治を仕切って抜群の実績を挙げていた。
そのまま国王になっていれば、どれほどの名君になったことか。
それほどの逸材であった
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パク・ボゴムがイ・ヨンを演じた『雲が描いた月明り』の重要な歴史解説!