ソル・ギョング、キム・ナムギル、オ・ダルスという魅力的な俳優が結集した『殺人者の記憶法』。韓国の映画づくりの魂がこもった作品だ。日本では、2018年1月27日から「シネマート新宿」ほかで全国ロードショーされる。
かつての殺人鬼の物語
映画の面白さの表現として、「息もつかせない」という言葉がある。『殺人者の記憶法』は上映時間の118分がアッという間に終わった。まさに、息もつかせない展開の連続であった。
韓国映画は「リアルさ」にこだわる。たとえ、目をそむけたくなるような場面であっても、ストーリーに必要となれば、決してはずさない。あいまいにしないのだ。
その「リアルさ」に圧倒されていると、自分がストーリーの中に自ら入り込んでしまっている。だから、十分な上映時間があっても、それを短く感じるのだろう。
それでは、『殺人者の記憶法』のストーリーは?
ソル・ギョングが演じるビョンスはかつての殺人鬼で、父親を含めて「この世に必要がない」と思った人物を複数あやめているが、17年前を最後にして、今では平穏に動物の世話をする仕事をしていた。
しかし、アルツハイマーになり、身近な記憶からどんどんなくしていく。そんな彼が交差点で接触事故を起こしたのだが、相手の車のトランクが開いて、そこに入っていたバッグから血が垂れていた。ビョンスは瞬間的にそれが人間の死体ではないかと疑い、相手の車のナンバーまで覚えて警察に通報するが、その車の持ち主は警察官のテジュだった。(ページ2に続く)