日本から見れば、朝鮮半島情勢が緊迫してきて「今、韓国に行くのは危ない」と思っている人も多いだろう。その韓国の日常はどうなっているのか。私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)は9月23日から26日まで、ソウル各地や慶尚道(キョンサンド)を回った。そこで感じたことを報告しよう。
同じ過ちを繰り返さない
ソウルでは旅行関係の人に会って、詳しく話を聞いてみた。みんな口々に「とにかく日本のお客様が激減しています。こんなに減ったことは本当に珍しいことです」と嘆いていた。
さらに、「ご覧のようにソウルの日常は何ら変わりはありません。ピリピリしているわけでもなく、日本から来た人が本当にビックリするくらい落ち着いています。ですから、日本の方も安心して来てほしいんですけど」と言っていた。
9月23日には、ソウルのホテルでロータリークラブの日韓会議があった。その席でも韓国側のメンバーは「北が攻めてくるということは考えられません。これほど経済格差が広がってしまっていることは相手もわかっているはずです。それなのに、あえて攻めてきますか?」と語っていた。
韓国と北朝鮮は1950年から3年間にわたって朝鮮戦争を経験している。同じ民族で内戦になるという悲劇を経て、そのことを心から反省したはずである。「それなのに、また同じような過ちを繰り返すわけがない」というのが韓国の人たちの率直な気持ちなのである。
軍事境界線からかなり近いソウルでも日常が変わらないのだがら、韓国南部の慶尚道に行くと、さらに緊張感のかけらも感じられない。それより今の韓国では、新しい文在寅(ムン・ジェイン)政権になって、それ以前の李明博(イ・ミョンバク)政権や朴槿恵(パク・クネ)政権に対して政治的な報復をするのではないか、ということが大きな話題になっていた。(ページ2に続く)