◆『宮廷女官 チャングムの誓い』(第4話)
「たとえ水でも、器に盛られた瞬間から料理になる」
傑作として名高い『宮廷女官 チャングムの誓い』には名セリフが多かった。
上記のセリフもその1つ。女官見習いの幼いチャングムが師匠にあたるハン尚宮(サングン)から言われた言葉である。
ハン尚宮はチャングムに水を持ってくるように命じるのだが、それをチャングムは何度もやり直させられる。
「たかが水なのに……。なぜ?」
チャングムはハン尚宮の意図がわからない。
しかし、ハン尚宮には深い考えがあった。
つまり、ただの水にも様々な用途があるということだ。
たとえば、水がほしい人の体調に合わせて、沸かしたり、塩を入れたり、工夫をしたり……。そのことをチャングムに気づいてほしかったのだ。
料理人の繊細な心得を説いたハン尚宮の名言であった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)