『偉大なる遺産』を監督したチャン・グンソクの手腕は?

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『偉大なる遺産』で主人公が子供時代を振り返る場面

タイトルの意味

チャン・グンソクはこれまでも熱心に短編映画を作ってきた。
今回の『偉大なる遺産』は、タイトルからして風刺が効いている。
普通、「偉大」と言うと、大富豪の遺産を真っ先に想像してしまう。しかし、この映画の遺産は、空き瓶を集めて売っていく生活を続けていた父が必死になって貯めたお金なのである。




つまり、大富豪の遺産とはかけ離れた額なのだが、しかし、1人の男が生涯をかけて地道に貯めたお金と考えれば、確かに「偉大」である。
その遺産を息子は借金の返済に使おうとしているのだ。そこに、観客が最初から「ドキリ」とさせられる要素がある。
その「ドキリ」がやがて「ハラハラ」になり、さらにクライマックスで「ギクリ」となる。それゆえ、余韻が残る。
映画は10分に満たないが、その中に父の人生と息子の現状がスリリングに凝縮されている。チャン・グンソク監督の手腕が見事である。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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