兵役制度に組み込まれて入隊したユンホにとって、この「21カ月」というのはどんな意味があったのだろうか。ここでは、3つの観点から、彼の兵役中の活動について見てみよう。
韓国における兵役制度
資源がなく内需が小さい韓国にとって、貿易こそが命綱である。特に、財閥企業がこぞって海外に進出し、外貨を獲得することで経済を潤してきた。それが、国民生活の向上につながったことは間違いない。
そんな風に貿易立国をめざす韓国では、人材こそが宝である。
特に、情報通信産業が国の根本を支える現況では、ネットに習熟した若者たちの力が欠かせない。
それなのに現実は、20代の男性を2年近くも社会から隔絶して軍務に就かせなければならない。
世界的に先端技術を競い合っている中で、韓国の兵役制度は、人材を経済活動で生かせないというジレンマを抱えている。
しかし、兵役をなくすことはできない。
北朝鮮と激しく対峙しているかぎりは、国防意識を高めるためにも兵役が絶対に必要と考える人が多いからだ。その義務を負わされるのが、結局は、有能な20代の男性なのであるが……。(ページ2に続く)