「偉大な指導者」待望論
韓国が大統領制度を変えられないのは、朝鮮王朝の影響もあるのではないか。
朝鮮王朝には27人の国王がいて、名君・凡君・暴君がその時代ごとに出ている。そういう意味では、国王の出来は千差万別なのだが、4代王・世宗(セジョン)は、民族独自の文字「ハングル」を自ら創製するほどの名君だった。今でも、どの小学校に行っても、かならず世宗の像がある。まさに、韓国随一の偉人である。
この他にも、22代王・正祖(チョンジョ/ドラマ『イ・サン』の主人公として有名)が、政治的に業績が多いとして名君に列せられている。
朝鮮王朝時代の名君の印象は、現代韓国でも強烈だ。そういう意味でも、韓国では国王(あるいは大統領)を頂点とする中央集権国家が骨身にしみこんでいるのである。
韓国が大統領制度を変えられないのは、朝鮮王朝の呪縛なのか。
もちろん、それだけが理由ではないが、「偉大な指導者」を待望する風潮は依然として強い。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)