第10回/イ・ジュンギ(後編)
イ・ジュンギがかつて「日本が好きだ」と発言したのは、彼の素直さによるものだ。未だに韓国では日本のことを好意的に言うのは難しく、ましてやスターがそのようなことを話したら、とかく問題になる。そんな雰囲気の中でイ・ジュンギが日本びいきの発言をしたので誤解を生んだのだが、彼について少しでも知っている人なら、その発言が単純に日本が好きだという意味ではないことがわかっている。なぜなら、イ・ジュンギの映画デビュー作は韓国映画『王の男』ではなく、2004年の日本映画『ホテルビーナス』だからである。
日本に対する特別な感慨
まだ無名だった頃、オーディションにいつも落ちていたイ・ジュンギが、偶然に彼のプロフィールを見た日本の監督に抜擢されて『ホテルビーナス』に出演した。この映画は韓国でも公開されたが、イ・ジュンギ自身はほとんど注目されなかった。それでも、イ・ジュンギにとって『ホテルビーナス』は、俳優になろうという一念で故郷を出て苦労を重ねた彼が、やっと夢をかなえた作品なのである。
実際、イ・ジュンギは『ホテルビーナス』について、「撮影はきつかったのですが、ただカメラの前に立てることだけでも嬉しかったですね」と語っていた。
当然ながら、チャンスを得た日本という国に特別な感慨を持っても不思議ではないだろう。
ジャッキー・チェンも同じだった。彼は若い頃、よく韓国で撮影をしていた。というのは、1970年代から1980年代にかけて、香港映画は中国本土での撮影ができず、代わりに韓国でロケをしたことが多かったのだ。
それゆえ、ジャッキー・チェンの初期の映画は韓国ロケがとても多く、彼は今でも韓国に特別な愛情を抱いている。また、ジャッキー・チェンのそんなところが好きだという韓国のファンも多い。
イ・ジュンギの日本に対する思いも同じだ。
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