堂々たる30代
俳優であれ監督であれ、ドラマや映画に関わる人は、2つの厳しい審判を受ける。1つは視聴率や興行成績という数字であり、もう1つは視聴者や観客の評価である。この2つで満足する結果を同時に得ることはかなり難しい。
過去の例を見ても、多くの失敗の上にわずかな成功が乗っている。とはいえ、それでひるむ俳優や監督は臆病すぎる。虎穴にいらずんば虎児を得ることはできないのだ。そのことは、言われなくてもチャン・グンソクが一番わかっていることだろう。
かつて詩人のリルケは、詩人志望の若者がアドバイスを求めてきたときにこう述べている。
「もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください」
つまり、命をかける覚悟があるのかどうか、ということだ。
男にとって、30代は20代とまったく違う。20代は「試作の時期」でもいいが、30代は「成果の時期」にしなければならない。
人生は長いが、俳優人生はそう長くない。歌手人生はさらに短い。人気という魔物が、多くの俳優と歌手から、その人生を奪ってしまうのである。
そんな人気に惑わされず、自分が一番だと信じる表現手段に命をかける。
チャン・グンソクの堂々たる30代が始まった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)