【『イニョプの道』歴史解説】物語と史実はどう交わるのか【その1】

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父子の決裂

 

李成桂の新王朝建国に尽力したのは、彼が重用した臣下たちだけではない。先妻から生まれた6人の息子たちも大きな活躍をしている。特に、五男の李芳遠(イ・バンウォン)の活躍は大きかった。

李芳遠は父の王権を盤石にするために汚れ仕事にも果敢に手を染めた。特に、李成桂が狩りの最中に落馬して床に伏せているときは、暗殺の脅威から守るために片時も父の側を離れなかったという逸話もある。

父と子の信頼関係が崩壊したのは、李成桂の安易な後継者指名だった。彼は大きな功績を残した先妻の息子たちを差し置いて、幼い異母弟を次の王に指名したのだ。

この決定を支持したのが、後妻や李成桂の側近だった鄭道伝(チョン・ドジョン)だ。こうして、李芳遠を筆頭にした先妻の息子たちと、異母兄弟を擁立する重臣たちの間で対立の空気が出来上がった。




両者はお互いに相手の出方をうかがうのだった。

1398年、先手を打とうとしたのが異母兄弟の派閥だった。彼らは李成桂危篤というウソの報告で、先妻の息子たちを一か所に集めて一網打尽にしようとしたのだ。しかし、彼らの動きは李芳遠にはバレていた。

李芳遠は相手の動きを逆に利用して、大規模な粛清を敢行。さらに、幼い2人の異母弟まで殺してしまった。

李成桂のショックは大きかった。彼はこの一件を境に王位から退いて隠居してしまう。代わりに先妻の二男が2代王・定宗(チョンジョン)として即位した。

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