転機となった『エデンの東』
浮き沈みの激しい芸能界である。
次々と新しいスターが出る中で、ソン・スンホンも忘れられる宿命にあるのかと思ったが、現実はまったく違った。
何よりも、除隊を温かく迎えてくれた大勢のファンがいた。その人たちの歓声が、不安の中で芸能界に復帰したソン・スンホンをどれほど励ましたことか。
その力に勇気づけられて、ソン・スンホンは新たな俳優人生を歩み始めた。その中で演じたのが『エデンの東』のイ・ドンチョルという役だった。
過酷な運命を強いられたイ・ドンチョルに扮しながら、ソン・スンホンの心の中で何かが大きく動いた。
それは、俳優というものが大勢の人に勇気と感動を与える魂の仕事だという矜持だったかもしれない。
彼は昔の彼ならず。
ソン・スンホンにとって『エデンの東』は、俳優を天職と考えられるようになった作品だった。
以後も、俳優としての活躍が続いた。『マイ・プリンセス』『Dr.JIN』『男が愛する時』といった作品でソン・スンホンはすばらしい演技を見せている。(ページ3に続く)