放送慣習の改善は可能なのか
日本の場合、ドラマの放送は週1回で、1話あたりの放送時間は46分。ほとんどのドラマが全10話で構成されている。
一方、韓国ドラマは週2回の放送が主流で、2話合計の放送時間は140分。ドラマの長さも16話から24話というのが一般的だ。ワンクールで放送されるドラマの合計時間は、多いときで韓国は日本の5倍にも及ぶ。
加えて、韓国ではテレビ番組の途中でCMを入れることができないため、広告収入も日本に比べて格段に少なくなり、番組制作に掛けられる予算も限られてしまう。しかもその予算の多くが、主役スターの報酬に使われてしまうのだ。
その結果、ひとつの作品を完成するまでに多くの労働力を必要とするにもかかわらず、予算などの制約から投入できるスタッフの数は限られてしまう。
そうした状況が、過酷な労働環境を生み出している。
報告書ではドラマの放送回数や放送時間を短縮し、番組の途中でもCMを入れるべきだと提言しているが、一度固定されてしまった放送慣習を変えるのは容易ではない。
いまだに、韓国でドラマが日本のように事前制作されることは非常に少ない。放送日ギリギリまで撮影や編集が続けられることが多いのだ。
その背景には、前述した放送時間の長さがあるのは事実だが、影響力の強い一部のスターのスケジュールに撮影日程を合わせなければいけないという事情もある。
もし韓国でも日本のようにドラマの事前制作が主流になれば、労働環境も大きく改善されるのだが……。
文=金昌祐(キム・チャンウ)+「ロコレ」編集部