韓国の兵役経験者の中には、「一等兵と上等兵は天地ほどの差がある」と言う人がいる。「天と地の差」という表現は大げさにしても、ニュアンス的にはそれほど違いがあるということだ。一等兵と上等兵では何が変わるのか。その違いを見てみよう。
入隊10カ月で上等兵に昇級
軍隊とは何かと言うと、「階級によって秩序を保つ徹底した序列組織」と説明することができる。とにかく、階級が人間関係のすべてであり、上官の命令に絶対服従することが組織維持の基本なのである。
それほど階級がモノを言うのが軍隊だが、職業軍人でなくて徴兵制によって入隊してきた現役兵の場合、服務期間(陸軍なら21カ月)に経験する階級は、二等兵、一等兵、上等兵、兵長の4つだけである。
現役兵はどのように昇級していくのか。
- 二等兵(韓国では「二兵」と呼ぶ)
↓ 3カ月後に昇級(新兵訓練期間を含む)
- 一等兵(韓国では「一兵」と呼ぶ)
↓ 7カ月後に昇級
- 上等兵(韓国では「上兵」と呼ぶ)
↓ 7カ月後に昇級
- 兵長(韓国でも「兵長」と呼ぶ)
↓ 4カ月後に除隊
以上が現役兵の昇級システムだ。たとえ、他人より能力が多少劣っていても、よほどでないかぎりは所定の期間が来れば昇級できるようになっている。軍隊は上下関係の秩序が大事であり、実力不足で昇級を見合わせると、軍隊内部の人間関係が混乱してしまうからである。
ただし、特級戦士のように特別に能力が優れている場合は昇級が早まる可能性がある。実力が高い者には積極的に褒賞を与えて、他の兵士に「羨ましい」と感じさせる狙いもある。それが士気の向上につながるというのが軍隊的な考え方なのだ。