社会的弱者を生む制度
徴兵制が存在する以上、韓国の男子は兵役の義務を果たす必要があるが、個人の事情によって、必ずしもそうできない場合があるのも確かだ。
仮に深刻な持病を抱えているために兵役免除になったとしても、その人は「意図的に兵役をのがれたのではないか」という疑いを持たれることは少なくない。兵務庁が申告センターを設けたように、国民の誰もが軍隊に行っていない人に対する監視の役割を果たしてしまっている。
その場合、弱者に向けられる目がさらに厳しくならないだろうか。
現実的に身体の問題や家庭環境に関して、兵役免除を受ける人が毎年5%前後生じている。彼らは、「本来なら立派に兵役の義務を果たしたい」と思っていても、現実的にそれができない事情を抱えているために兵役免除になっている。
そういう人たちに対して「意図的な兵役のがれ」という懐疑心を少しでも抱くことがあれば、国民の間で不信感が募るという結果になるのではないか。
確かに意図的な兵役のがれが多いというのも事実だ。富裕層や特権階級の間で息子の兵役免除率が高いし、情実社会とも言える韓国では、様々なコネを使って兵役問題を有利に進めるケースも存在する。
そうだとしても、本人が「立派に兵役を果たしたい」と思っていてもできない事情をくんであげなければならないのではないだろうか。
兵務庁が申告センターを設けて兵役のがれを徹底的に究明する姿勢によって、結果として兵役免除になった人たちが社会的弱者として差別されることがあってはならない。(ページ5に続く)