俳優復帰するときがかならずくる
ペ・ヨンジュンが若手俳優にとって精神的支柱になっているのは、なにも彼の俳優としての実績だけがモノを言っているからではない。ペ・ヨンジュンが自ら若手俳優のそばに近寄って肩を軽くたたくように励ますから、若手俳優は勇気づけられて少しずつ自信が持てるようになるのだ。
チャン・グンソクも、ペ・ヨンジュンに後ろを押してもらった1人である。
彼は2012年3月に『ラブレイン』の制作発表会が行なわれた席で、次のように語っている。
「僕は(偉大な)ペ・ヨンジュン先輩について、あえて何かを語れる位置にはまだいません。ただ、ペ・ヨンジュン先輩に偶然会ったんです。その際にユン・ソクホ監督の作品に出る際のアドバイスを受けました。ペ・ヨンジュン先輩は『ユン・ソクホ監督が演出されるままに俳優が続いていけば、結果は願ったとおりになるのではないか』とおっしゃいました」
この言葉から感じられたのは、ペ・ヨンジュンに対するチャン・グンソクのリスペクトである。彼は『ラブレイン』に主演するにあたり、独特の世界観を持った純愛物語に不安を感じていた。ペ・ヨンジュンはそれを察してチャン・グンソクに「監督にすべてを委ねていけば結果が出る」という貴重な言葉を贈った。チャン・グンソクもどれだけ心強く感じたことだろうか。
また、『ドリームハイ』で果敢に“俳優”にチャレンジした2PMのテギョンも、ペ・ヨンジュンから貴重なアドバイスを受けている。
彼はそのときのことをこう語っている。
「ペ・ヨンジュン先輩からは『かならずうまくできるから、がんばってほしい』という激励の言葉をいただきました」
このように、テギョンに対するペ・ヨンジュンのアドバイスも、先輩としての温かみがあふれている。だからこそ、後輩の心に響くのである。
妥協を許さず自分が納得するまで演技に集中していたペ・ヨンジュン。その姿勢が若手俳優に大きな影響を与えてきた。
今は新作がないペ・ヨンジュンだが、かならず俳優に復帰するときがくる。そのときも、彼は身をもって後輩たちに俳優の真髄を見せていくことになるのだろう。
文=康 熙奉(カン ヒボン)