大部屋での就寝に慣れるしかない
ゴニルを初めとする新兵が、第3師団の訓練所に入隊すると、即座に練兵場で入所式が行なわれる。この式は、家族や友人たちも観覧することができる。
その入所式が終わると、新兵はすぐに兵舎に入っていく。家族や友人としばらくのお別れだ。
新兵たちは訓練所で兵士登録作業を行ない、その後に4日間の新兵準備期間に入る。この間には兵士としての訓練はなく、あくまでも、今後の軍隊生活に必要な手続きを進めていく。
果たして、どんなことをするのだろうか。
自己診断書の作成、身長・体重などの正確な測定、健康診断、体力テスト、知能検査、適性検査などを受ける。同時に、体操着や生活必需品の支給を受ける。
宿泊する兵舎の自分専用スペースは1坪もない。新兵たちは簡易布団を敷いて雑魚寝することになるのだ。
これが大変な不自由をともなう。これまで個室で寝ていた人間が大部屋の雑魚寝となると、そう簡単には熟睡できない。神経質な人なら、誰かのいびきが気になって一晩中寝られないかもしれない。
睡眠不足になったら大変だ。もっとも、環境に適応する能力が人間は高いので、じきに慣れるだろう。ゴニルの場合も、早く慣れればいいのだが……。(ページ3に続く)