激務の象徴がプロデューサー
韓国のあるテレビ局のプロデューサーは、そうした問題点を的確に指摘している。
「韓流ブームが起きて、韓国ドラマが大金を稼げるコンテンツになったために、放送局も制作会社も視聴率競争ばかりを意識するようになりました。専門スタッフを地道に育てたりということをしなくなってしまったのです」
目先の利益を追うあまり、時間や人手をかけて良質の作品を生み出すという意識が、いつしか薄れてしまったのかも。
また、プロデューサーの役割に問題があるという指摘もある。
現在の韓国では、プロデューサーが撮影現場で演出を行なうだけでなく、ドラマそのものの企画や制作管理など多くの業務を兼務することが多い。日本のように、演出は現場のディレクターが責任をもって行ない、その他の制作進行に関わる業務をプロデューサーが担当するというような分業体制が明確になっていないのだ。
韓国ドラマのプロデューサーは、まるで映画監督のように働くわけだが、放送時間が映画の数十倍もあるドラマでこのような働き方をするのは健全とは言えない。結局、制作の総指揮者にあたるプロデューサーが激務を行なっているせいで、その下で働く多くのスタッフたちも、問題が多い労働環境に対して異議を唱えにくくなってしまう。
視聴者は決して甘くない。
いくら大物の韓流スターが出演していても、ドラマそのものに魅力がなければ、すぐに飽きられてしまう。
実際、最近の韓国ドラマでは、韓流スターを多く起用したにもかかわらず、視聴率が低迷するドラマが相次いだ。その一方で、企画に優れた作品は好評を博すことが多い。(ページ3に続く)