ストーリーが逆になってしまう
いよいよ、放送事故の話に移ろう。
韓国の主要なテレビドラマは地上波の3局(KBS、MBC、SBS)で午後10時に一斉に放送される。しかし、放送の直前まで撮影をしている場合が多く、編集が間に合わなくて午後10時に穴をあけてしまうこともある。たとえば、15分遅れでドラマの放送が始まったりする。
ただし、地上波の3局はドラマの前は午後9時からニュースを放送しているので、たとえ午後10時からのドラマ放送ができなくても、生放送のニュースを流して対応する。そんな放送を何回も見てきた。これは、事前制作でない弊害の1つだ。
弊害はまだある。
短時間にあわてて編集をしているので、ときには大きなミスがある。たとえば、話の筋が逆になること。時間の流れで後に入れる場面を前に持ってきてしまって、ストーリーの辻褄(つじつま)が合わなくなってしまったりする。これは致命的なミスだが、編集に余裕がないから仕方がない。
こんなミスは日本のドラマでは考えられないのだが……。
なお、韓国ドラマに回想シーンが多いのも、撮影の分量を少なくして放送時間を確保するための苦肉の策なのだ。(ページ4に続く)