日本と違う韓国のビックリ(6)

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騒々しくて楽しい車内

席に座って冷静になれば、先客の言うとおりかもしれない。

車内はガラガラなのである。しかも、相手は相当に年配の女性。わざわざ移ってもらわなくても、私が気を利かせればよかった。たとえ、女性が指定席券さえ持っていなかったとしても。

杓子定規だったようだ。日本的には「決まりは決まり」なのだが、ここは韓国だった。なにごとにおいても、現実にそくして融通を利かせる国なのである。

もう一つ、別のエピソード。高速列車ができる前の話だ。

ソウルから大邱(テグ)まで、在来線の急行列車に乗った。全席指定だったが、満席で席を取れない。当時は立席特急券というものがあった。立ちっぱなしを覚悟して乗るのである。




私は乗車するとすぐに食堂車に行き、ビールを飲みながら粘った。大邱まで4時間、何本のビールを飲んだことだろうか。

よく見ると、私と同じ目的の乗客が何人もいた。3時間が過ぎた頃にはみんないい気持ちになって、そのうち歌い始める人もいた。その人はなんと、ギターまで持っていた。

私も大いに歌った。しまいに食堂車がカラオケルームのようになった。しかも、生ギターの伴奏つきである。

あんな騒々しくて楽しい車内は、後にも先にも他になかった。

(文=康 熙奉〔カン・ヒボン〕)

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