対談「アジアの中の日本と韓国」(小原宏延③)

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伽耶山の登山道にある海印寺の入口

伽耶山の登山道にある海印寺の入口

 第3回/仏教国としての日本と韓国

康「アジアの中での日韓という話に移りましょう。アジアも広いですからね」

小原「ヨーロッパよりも広いです」

康「ただ、アジアは中国の文明がとても大きくて、それが周辺国にどんどん広がっていきました。たとえば、東だったら朝鮮半島や日本、南だったらベトナムとか。ベトナムは大変な儒教国でもあります」

小原「教科書的にいえば、アジアは農耕と遊牧がミックスしたような地域です。狩猟民もいますが、ヨーロッパみたいな狩猟と放牧が主たるものではありません。もう1つは、海が豊かでしょ。それが自分たちの周りの中で生産性が十分に確保できた理由です。モンスーンや親潮、黒潮といった潮の流れが豊かなのです。ものすごい古代から船が最初の交通手段で、民族の移動が海と大陸を通っていろいろ交差しました。それから自然が肥沃じゃないですか。おそらく、ヨーロッパの苛酷な乾いた土よりもあらゆる作物が育ちやすい。東南アジアとか熱帯アジアのような暑いけれども常に飢えることがなく、食べるものがいつもあります。それから中国とか朝鮮半島とか日本は、寒さに耐えるためにいろいろと工夫したことによって、生活の手段や技術が進歩したのです。アジアは一言でとても言えませんが、民族性がいろいろありながら、非常に共通点も多いのではないかと思います」

康「東アジアの日本列島と朝鮮半島は、気候的にも四季が豊かで住みやすいでしょ」

小原「確かにね」

康「潮の流れがすごく豊かだから海産物に恵まれています。さらに稲作にも適しているからこそ、独自の文化を育んできたのでしょう。ただ、あまりにも中国に近かった。中国文明からいろんなものを教わりましたが、同時に中国は大変な脅威でした」

小原「そうですね」

康「日本は海に囲まれているから、防御上の利点がありました。しかし、朝鮮半島は直接の陸続きですので、歴史的に800回くらい侵略を受けたと言われています」

小原「1つ大きく左右されるのが宗教ですね。主要な宗教はほとんどアジアで生まれたと言ってもいいのだが、アジアに定着して拡大したのがまず仏教ですね。民衆を和らげたり、人と人が融和する教えですから、戦いを避けるというのが仏教には強いのです。いわゆる中東で発達していったイスラム教とヨーロッパで栄えたキリスト教とは、だいぶ性格が違います。宗教ですから、神とか仏という人間を超えたものを敬っていく。今、アジアはイスラム、ヒンドゥー教、仏教というものが薄れている地域もありますが、宗教的には温厚なところが多いんじゃないですか」




康「仏教に関して言うと、宗教をめぐって民族同士が争うということは、ほとんど起きていないですよね」

小原「宗教戦争というかたちで起きていないですね」

康「土地をめぐる争いは年中あったのでしょうが、宗教戦争というのはありませんでしたね」

小原「逆に宗教がそれを諌めるというか、調和させるかたちであったと思います」

康「日本で仏教というと、鎌倉時代にすごい人がいっぱい出てきて発展していったじゃないですか。高麗王朝も仏教をとても尊重しました。高麗王朝を作った初代王の王建(ワン・ゴン)が、子孫が守るべき遺訓として、第1条に『仏教を重んじろ』という教えを残しています。歴代王もそれにならって仏教を大変重んじたのです。そういう意味で言うと、中世には日本も朝鮮半島もとても仏教が盛んで、仏教的な価値観という共通点がありました。朝鮮半島でも肉は食べなかったしね」

小原「やはり『八萬大蔵経』は有名ですよね。仏教の教えを全部集めた教典のことを大蔵経と言いますが、『八萬大蔵経』は木版が韓国の海印寺(ヘインサ)にありますね」

康「僕らも海印寺に行きましたね」

小原「お土産に木版で刷られたのを買ったんですよ」

康「刷ったものをですか。そういえば買っていましたね」

小原「それは親戚にあげたんですけどね」

康「堂々たる伽藍(がらん)とか、海印寺の建物には圧倒されましたよ」

小原「とにかく大きな寺でした」

康「海印寺の周りの山菜料理が美味しかったですね」

小原「あそこは登山道になっていました」

康「伽耶山のね。ちょうど僕らが行ったときは、紅葉がきれいでした」

(文=「ロコレ」編集部)

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