傑作探訪『トッケビ』第1回/「韓国ドラマの真髄!」

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「生」と「死」の問題は、人間にとって最も根源的なテーマだ。過去に多くのドラマでも生死が扱われたが、その中でも秀逸なのが『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』である。このドラマでは特に、主役のコン・ユと脚本の出来がすばらしかった。

画像=tvN




さまよい続けるトッケビ

設定は奇抜である。
主役のキム・シン(コン・ユ)は、高麗時代の武将で現代まで900年も生き続けている男だ。
ただし、「またか」と思わざるをえないところもあった。そういう時空を超えて生きる人間の設定は韓国ドラマに多いからだ。
しかし、『トッケビ』は内容が違った。
キム・シンは人間の姿をしているが、むしろ霊的な存在とも言える。彼は、900年前に主君に裏切られて、妹や家臣を失い、自分も命を落としかけた。
しかし、結局は死ぬことができず、胸に剣を刺したまま現代までトッケビとしてさまよい続けている。
キム・シンの人生が終わるとき……それは、結婚して花嫁によって胸に刺さった剣を抜いてもらうときなのだ。そうすれば「不滅の命」が終わる。長く苦しんだキム・シンもそれを望んでいた。




キム・シンはついにウンタク(キム・ゴウン)という最適な女性を見つける。しかし、彼女の魅力に気づいてから、心境に大きな変化があらわれてくる。
このあたりのストーリーの展開は見事だ。見ているほうは、「ハラハラ、ドキドキ、納得」の連続だろう。
キム・シンとウンタクに加えて、生を終えた人を天界へ誘導する仕事をしている死神(イ・ドンウク)や、彼とラブストーリーを繰り広げるサニー(ユ・インナ)が登場して、物語がさらに重層的になっていく。
とにかく、それぞれのキャラクターが生き生きしている。口にするセリフも味わいがあり、娯楽性の高いストーリーの中で「生」と「死」という根源的なテーマ性が深い意味を持ち続ける。
このドラマは、韓国で放送時に完成度の高さで大評判になった。
その名声の末に、韓国で権威がある百想芸術大賞の2017年度授賞式のテレビ部門で、主要な賞を次々に獲得した。
2017年において百想芸術大賞のテレビ部門の大賞を獲得したのが、脚本を書いたキム・ウンスク作家であった。




彼女は、『シークレット・ガーデン』や『太陽の末裔』という大ヒット作の生みの親。もはや、脚本界の大御所と呼べる存在だ。
さらに、テレビ部門の男性最優秀演技賞を受けたのが主演のコン・ユだった。
彼は受賞の喜びを次のように表現した。
「重くて大きい賞は、弱い私に対して、『しっかりせよ』『もう躊躇せずさまような』と言っているかのようです」
このあたりは、いかにも哲学的な言葉を好むコン・ユらしいコメントだ。
そんなコン・ユが不思議な世界を抒情的に演じたからこそ、『トッケビ』はドラマとしての「永遠の命」を得たのかもしれない。

傑作探訪『トッケビ』第2回/「コン・ユのすごさ」

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