『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが演じたイ・ヨンは、政治的に対立した場面で厳しい表情にならざるをえなかった。そのときのパク・ボゴムの演技にも大いに惹かれた。
万人を魅了する輝き
韓国には「黙内雷(ムンネレ)」という言葉がある。
この「黙内雷」とは何か。
わかりやすく言えば、「表面上はとても静かで黙して語らずという表情なのだが、心の中では雷が鳴り響いているように激しい感情が渦巻いている」という意味だ。
パク・ボゴムの「笑わない表情」をずっと見ていて、この「黙内雷」という言葉を思い出した。
もちろん、パク・ボゴムは笑顔が魅力の俳優である。カメラを向けられたときや、ファンの視線を浴びたときには、自然と笑顔がこぼれる。そして、その表情は万人を魅了する輝きに満ちている。
だからこそ、彼はこれほどのスターになったのだ。
パク・ボゴム。
彼が人気商売の芸能人だからといって、いつも笑っているわけにはいかない。
感情がある以上は、笑えない瞬間もあるのだ。
そして、表情から笑顔が消えたときのパク・ボゴムも、なんとも魅力的だ。たとえ微笑まなくても、心の豊かさが感じとれるからだった。
思えば、『雲が描いた月明り』で演じたイ・ヨンは、苦しい立場に追い込まれていた。周囲は政敵だらけという状況の中で、世子(セジャ)として王を助けて政治を仕切っていかなければならなかった。
笑うどころか、厳しい表情の連続だった。
そんなイ・ヨンを演じ続けたパク・ボゴム。間違いなく言えるのは、彼は笑顔がとても魅力的だが、たとえ笑顔でなくても、「黙内雷」を感じさせるような深い内面性を備えていた。
文=「ロコレ」編集部