韓国の宮廷料理はどのようになっていたのか「第3回/特選料理」

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王が食べる料理は全国の特産品で作られただけではなく、その調理方法もまた独特なものだった。特に歴代の王に愛された特選料理を紹介しよう。まずは、神仙炉(シンソルロ)。これは、韓国独自の高級な鍋料理である。

これが神仙炉




貴重な食材

神仙炉で使われる食材は、牛肉、松の実、岩茸、胡桃、銀杏など。それらを織り交ぜてかまぼこ状にしたものを、中央に突起がある鍋にていねいに並べて入れていき、牛肉のすまし汁を注ぎ込む。そして炭の入った炉に火をつけて煮る。鮮やかな色彩が食欲をそそるが、牛肉のダシもよく効いていて、上品な味わいが楽しめる。
女優のイ・ヨンエも、チャングムを演じるにあたって、宮中料理研究院で神仙炉の作り方を習っている。
「神仙炉の場合は、そのまま材料を鍋に入れるのではなく、色彩や角度のバランスを考えます。それによって見え方が違いますから。食材の一つひとつに意味があるということを習いました。宮中料理を見ればその国の料理がどのようになっているのかがわかります。国王のスラサンはその時代の状況をよく伝えてくれるということです」
さすがに、イ・ヨンエはよくわかっている。やはり、「宮廷女官チャングムの誓い」の主役にうってつけの女優だったのだ。




その他の特選料理を見てみよう。
生きた鯉と幼い鶏で作る最高の保養食と言われたのが「ヨンボンタン(龍鳳湯) 」。スタミナ料理としても有名で、これを食べると90歳の老人も子を得るという説もあった。
また、「いちじくの花袋」も宮廷料理の定番だった。いちじくの実は民間医療薬として朝鮮時代の医学書「東医宝鑑」でも貴重とされた実だ。血圧降下、健胃、滋養、便秘解消、活力回復に効果があるとされていた。中国の医学書「本草綱目」には腸の作用を円滑にし、咽喉の痛みを治すとも書かれていて、消炎用にも使われた。ここまで評価されているいちじくの実を他の野菜と混ぜてマンドゥ(餃子)にするのが「いちじくの花袋」。その姿が花のように美しくて花袋という名が付けられた。
高価なカニも、よくスラサンに上がった。料理の名は「ケチム」。カニの煮物という意味だ。カニは脂肪が少なく蛋白質が多い。特に必須アミノ酸がたっぷり含まれていて成長期の子供によいとされた。世継ぎ候補にはさぞかしケチムがいつも用意されていたことだろう。
また、カニは肥満、高血圧、心臓病などの予防に効果があるとされ、さらに、精神エネルギーを充満させる食材として宮廷で本当に重宝された。
けれど、庶民の口にはめったに入らなかった。それは現在も同じである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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