韓国の俳優は、一つのイメージで自分を固めるより多様な役を通して表現力を広げたいと望む人が多いのだが、ソン・ジュンギは特にその傾向が強い。そして、作品ごとに新しいイメージを役にできるだけ注ぎ込んできた。『韓国ドラマ!愛と知性の10大男優』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/星海社)を通して、ソン・ジュンギの魅力について迫ってみよう。
常識外のドラマ
ファンにしてみれば、新作でソン・ジュンギが新しい役を演じるごとにドキドキするに違いない。
「えっ、これがあのソン・ジュンギ?」
そんな言葉がつい口から出るほど、彼は想定外のキャラばかりに挑んでくる。固定観念を持っていると、それまでのイメージが通用しないのだ。
そうだとわかっていても、やっぱり『ヴィンセンツォ』は常識外のドラマだった。
ドラマの第1話、イタリアでスケールの大きいアクション&逃走劇を演じるソン・ジュンギに度肝を抜かれた。
彼は卓越した腕でマフィアの幹部までのし上がったヴィンセンツォという男を演じているのだが、驚くほどの豪邸で自分の人生を賭けて徹底的に暴れまわった。その姿は、まさに国際スターの貫禄だった。
しかも、派手に火の手が上がる光景が空から迫力満点で映しだされるのは圧巻だった。その中心にソン・ジュンギがいて、彼の「ここまでやるのか」という復讐劇は迫力満点だった。
結局、『ヴィンチェンツォ』は韓国で放送と同時に大評判となり、社会現象を巻き起こすほどの人気を呼んだ。
ソン・ジュンギの主演ドラマはいつも素晴らしいが、『ヴィンチェンツォ』も別格な出来栄えとなり、彼の俳優人生に強烈なプラスアルファをもたらした。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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