『パンドラの世界~産後ケアセンター~』新米ママでなくても楽しめる世界観

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20年以上前に出産した身としては“産後ケアセンター”という存在に全く縁がなかった。日本の有名女優がかつて韓国での出産後に入ったことでその名称を知ってはいたが、それほどメジャーなものではないと思っていた。今では2人に1人が入る時代だそうだ。

画像=tvN




スパイスが効いている作品

オム・ジウォン主演『パンドラの世界~産後ケアセンター~』は韓国tvNで2020年に放送された作品。母子ケア施設で繰り広げられる痛快なヒューマンコメディーだ。本作は激情出産ノワールドラマとも言われている。“パンドラの世界”と称した邦題にも感心する。パンドラとは「神々からすべての贈り物を与えられた女」を指す。
本作は産後ケアセンターで出会った女性たちがさまざまな困難や葛藤を乗り越えながら新米ママとして自立していく物語。韓国ドラマにしては全8話という短さのうえ、ところどころにスパイスが効いていて飽きることなく楽しめる作品だ。
主人公ヒョンジン(オム・ジウォン)は42歳のキャリアウーマン。最年少で常務に昇進した喜びを噛みしめていた矢先に諦めていた妊娠が発覚する。出産間際までハイヒールを履いて仕事に邁進するが仕事中に破水してしまう事態に。
冷静沈着に病院へ向かいそのまま出産へ臨むことになるヒョンジン。しかし、さすがに出産本番は冷静ではいられない。献身的な年下夫(ユン・バク)の髪の毛を引っ張りながら、苦しみの末に息子を出産したヒョンジンは産後ケアセンターに入所する。




出産前は最年少で常務になったことを誇っていたヒョンジンだったが、出産後は何もできない最年長の新米ママになっていた。
産後ケアセンターとはその名のとおり出産後の女性をケアしてくれる施設。プロフェッショナルによる産婦の体調管理から新生児のケア、一流シェフの栄養満点料理や最高級マッサージなど産婦にとっては天国のような最高の空間だ。一方では、昼夜関係なく3時間ごとに襲ってくる授乳や良いお母さんになるための授業など忙しいスケジュールもこなさなければならない。
そんな産後ケアセンターでの日常がヒョンジンを中心に展開されていく。さまざまな事情を抱えた新米ママたちが励まし合いながら自立していく姿が微笑ましくも見えるのだが……。本作は『刑務所のルールブック』の演出家が手掛けていて、笑いだけでは終わらせない演出力も見どころだ。
産後ケアセンターのスタッフにも注目だ。映画『パラサイト』でソン・ガンホの妻役を演じたチャン・ヘジンがスマートな館長に扮し、赤ちゃんの心の声を代弁するアン・ヒナム役を俳優チャ・テヒョンの実母チェ・スミンが演じている。チェ・スミンの本業は声優。劇中での赤ちゃんの声が妙にリアルなのも頷ける。




息子チャ・テヒョンも本作に特別出演し、映画『猟奇的な彼女』のパロディシーンも垣間見ることができる。韓
国版では『猟奇的な彼女』のテーマ曲であるシン・スンフンの「I believe」が流れ、子供を育て上げた母親だけがもらえる幸せな瞬間が感動的に描かれているのだが、日本放送では別のBGMに差し替えられている。
『パンドラの世界~産後ケアセンター~』はコミカルな描写とヒューマンな要素のバランスのよいドラマ。新米ママたちだけでなくても大いに楽しめる作品だ。

文=朋 道佳(とも みちか)

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