IU(イ・ジウン)は『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』のヒロインを演じた。彼女の扮したジアンが、ドラマの序盤にひどい暴行を受けるシーンがあった。韓国の視聴者から強い批判が起きていた。
辛い場面
IU(イ・ジウン)が『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』で演じたジアンは、父親が残した借金に苦しめられていた。その借金を厳しく取り立てていたのが、チャン・ギヨンが扮したグァンイルだ。
彼は、執拗にジアンを責め立てる。かつては幼なじみなのに容赦がない。こうしてグァンイルはドラマの序盤でジアンに激しい暴力をふるう。
見ていて、本当に辛い場面だった。
実際、韓国で放送されたときは厳しい批判が起きている。「容認できない暴力シーン」という声が多かった。
屈強な男(グァンイル)が線の細い女性(ジアン)に生々しい暴力をふるうシーンには、私も不快感を持った。もっと、他の描写でそのような状況を伝える方法もあったはずなのに……。
韓国ドラマには自制しなければならない暴力シーンが多すぎる。『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の「あの場面」もまさにそれに該当した。
このドラマの序盤といえば、IU(イ・ジウン)も体調が悪くて降板を申し出るほどだった。そんな彼女が暴行シーンの被害者としての撮影に加わって、どのように辛かったか。
『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』は韓国ドラマ史に残る大傑作だが、すべてが称賛できるわけではない。見過ごせない瑕疵(かし)もある。
ドラマを見ていて、グァンイルがジアンに対して「隠れた愛情」を持っていたことは明らかだが、暴力でその心情を表わそうとしたのは拙速だった。
そんなシーンを撮影しているとき、IU(イ・ジウン)はどんな心情になっていたのだろうか。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)