もし韓国に行けるようになって『二十五、二十一』のロケ地をめぐるとしたら、真っ先にあのトンネルに行ってみたい……そう思っている人が本当に多いことだろう。それが実現したときは、果たして何を思うのか(ネタバレを含みます)。
重要なシーンの舞台
第2話のラストシーン。校庭の蛇口をひっくり返して派手な噴水を再現したナ・ヒドとペク・イジンは、警備員にとがめられて逃げ出した。そのときに向かったのがトンネルだ。
そして、勢いよくトンネルを抜けたとき、2人の中で確実に何かが変わっていた。それは、愛の芽生え?
夏まっさかりのトンネル。緑に囲まれたトンネルの情景が美しかった。
それ以降、たびたびトンネルが登場して素敵な情景を作り出していた。
悲しいときもあった。「コ・ユリム」「売国奴」と落書きされてしまい、ペク・イジンは座り込んで涙を流した。そんな彼を支えたのがナ・ヒドだった。
そして、最終話。ナ・ヒドとペク・イジンが決定的に別れたのも、トンネルを抜けた先だった。このときは、ナ・ヒドがペク・イジンを置いて先に帰ってしまい、その姿をペク・イジンが呆然と見送っていた。
そして、最終話のラスト。昔の日記を手にした40代のナ・ヒドが忘れたものを取りに行くためにトンネルを抜けると、彼女は20代に戻っていた。待っていたのは若き頃のペク・イジンだ。
そこで2人は、20年前に本当に言いたかったことを語り合い、お互いに心から愛し合っていたことを確認した。
それから、今度はナ・ヒドがペク・イジンに「先に行って!」と促す。20年前にペク・イジンを置いて自分が先にさっさと行ってしまったから、ナ・ヒドは今度こそペク・イジンを見送る番だと思ったのだ。
そうしてペク・イジンを見送ったあと、ナ・ヒドは大いに納得してトンネルから戻ってくると40代の自分になっていた。
その瞬間、若き5人の仲間が現れてきて元気よくトンネルを抜けると、最高の思い出となった「夏の海」が再現されていた。
このように、『二十五、二十一』の重要なシーンの舞台となっていたトンネル。まさに、時間を超越していくタイムマシンの役割を果たしていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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