新刊『朝鮮王朝の歴史と人物』で韓国時代劇を理解する4「国王は何を食べていた?」

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多くの韓国時代劇の舞台となっている朝鮮王朝の歴史を解説したのが『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』(康煕奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)である。この本の一部を掲載して、韓国時代劇の理解に役立つ知識を紹介しよう。

『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』(康煕奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行/1000円+税)




1日に5回の食事

現在の韓国料理の原型となったのが、朝鮮王朝時代の宮廷料理である。
王が食べる料理だけに、朝鮮半島全土から集められた進上品を使って作られ、専門の女官と外部から呼び寄せた男の料理人が腕をふるった。「宮廷女官 チャングムの誓い」を見ると料理を作るのは女官ばかりだったが、実際には料理に精通した男たちも厨房で包丁さばきを見せていた。
なにしろ、作る料理の量がすごかった。それもそのはずで、王族の人たちは食欲が旺盛で、王や王妃は1日に5回も食べたという。起床時の軽食、朝食、昼食、夕食、夜食という順番である。
王が食べる時には3人の毒味用の女官が付いていた。複数の人間を用意するほど、王は毒殺されることを警戒していた。そのことは、王宮内での権力闘争がいかに激しかったかを物語っている。
料理を盛りつける食器は、季節によって使い分けていた。夏には磁器の食器を用い、冬には銀製の食器を使った。ただ、スプーンと箸は季節にかかわらず銀のものだった。銀は毒に触れると変色する性質があり、毒の有無を確認するうえでも銀のスプーンと箸が効果的だった。




具体的に、食事の中身を見てみよう。
朝食と夕食が最も重要な食事で、おかずは汁のある煮物、鍋物、沈菜(キムチの原型の漬物)が定番で、さらに12種類も用意された。
その12種類とは、肉や魚の焼き物、チヂミ、肉類の蒸し物、熟菜(野菜類を茹でて作るナムル)、生菜(野菜類を生のままで作るナムル)、煮込み、漬物、魚介類の塩辛、干し魚、海苔、刺し身、半熟卵、スンニュン(おこげに湯を加えてお茶漬けのようにしたもの)などだ。
ご飯は白飯と赤飯の二つで、ワカメスープとコムタン(牛の肉と内臓を長時間煮たスープ)も度々食卓を飾った。もちろん、すべてを食べきれるわけがない。少し箸を付けるだけの場合も多かった。
朝起きてすぐに寝床で食べたのはお粥や重湯など。乾き物のおかずが2、3種類出て、他に塩、蜂蜜、味噌、漬物などが用意された。
昼食はごく簡単に済ませた。といっても、夕食と比べて“簡単”という意味で、庶民から見れば信じられない種類と量だった。温麺、冷麺、雑煮、餃子、肉の蒸し物、刺し身、チヂミなど……。




夜食時に食卓に並ぶのは、麺、薬食、シッケ(日本でいえば甘酒のようなもの)、ウユジュク(牛乳のお粥)などであった。
歴代の王はよく口内炎に悩まされたというが、原因は間違いなく食べすぎであった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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