日韓の二千年の歴史7/浅草寺の縁起

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善光寺との関連

東漢氏は、高い造船技術を持っていたことから、海を通って東国にも大いに進出したという。東漢氏で大和の出身と思われる浜成・竹成兄弟が隅田川で観世音菩薩を引き上げるという縁起は何を暗示しているのだろうか。
ここで思い浮かぶのが、善光寺の本尊の「一光三尊阿弥陀如来」のことだ。善光寺縁起によると、信濃の国に住んでいた本田善光が難波に行ったときに水の中から突然に一光三尊阿弥陀如来が現れたという。




水の中から現れたという点で、浜成・竹成兄弟が隅田川から観世音菩薩を引き上げたことと似通っている。しかも、浅草寺でも善光寺でも本尊はまったくの秘仏になっているのだ。
善光寺の本尊は、もともとは朝鮮半島から日本に渡ってきたものだという言い伝えがある。一方、浅草寺の本尊に関しては出自が明かされていない。
しかし、その本尊を見つけた浜成・竹成兄弟が「渡来人の里」を象徴する檜前を姓に持つことから、浅草寺の成り立ちに朝鮮半島からの渡来人が大いに関わっていたということが推定できるのではないか。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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康熙奉(カン・ヒボン)著『宿命の日韓二千年史』(勉誠出版)

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