一度根付いた視聴習慣
それぞれの家族を細かく描いていって、およそ50話くらいで完結するようになっている。結局、様々な年齢層の登場人物たちが現代的な悩みを抱えながら生きている姿というのは、幅広い視聴者の共感を得られるのだ。
週末であるだけに、家族がそろってドラマを楽しめる傾向が強く、そうした視聴者の状況に合わせてドラマ自体も実生活に近いホームドラマとなっている。
しかし、ただのホームドラマではない。かならず、登場人物の中に公にできない秘密を抱えている場合が多い。
たとえば、『月桂樹洋服店の紳士たち』なら父親が謎の失踪をしてしまうし、『お父さんが変』の場合だと、父親がかつて殺人罪に問われて刑務所暮らしをしていて、さらに友人に成り代わったという過去があったりした。
『黄金色の私の人生』でも、ヒロインには出生の秘密があって、それが二転三転していくところが物語のキーポイントになっている。
KBSの週末ドラマが強いのは、「韓国で最も強い公共放送局が、週末というドラマ視聴に適した時間帯に、最高の脚本家と出演者を集めて幅広い視聴者に共感してもらえるような謎めいたホームドラマを作っている」からなのだ。
しかも、テレビ視聴者というのは、一度根付いた視聴習慣を長く守っていく。結局、KBSの週末ドラマ枠というのは、多くの視聴者に「絶対に面白い!」と思わせたところが一番の成功要因かもしれない。
文=「ロコレ」編集部
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