英雄視された洪景来
確かに、ホン・ラオンが内侍府の内官になるのはありえない。しかし、ありえないことを起こしてストーリーを動かすのもドラマの醍醐味だ。
イ・ヨンのそばに仕えるホン・ラオンの存在そのものが、『雲が描いた月明かり』をとても面白くしていた。
そのホン・ラオンは、洪景来(ホン・ギョンネ)の娘という設定になっていた。
史実を見ると、洪景来が反乱を起こしたのは1811年のことだった。大凶作となって庶民が餓えているのに、政権が重税を課したことで洪景来は決起した。
洪景来を首領とする反乱軍は10日ほどで7つの城を占領して勢いが良かったが、政府軍の反攻によって次第に窮地に追い込まれ、拠点となる城で長く籠城した末に制圧されている。
そのときは、「洪景来の乱」に加わった約2千人が処刑されたと言われている。
結局は殺害されてしまった洪景来だが、政権の悪政を正そうとしたという意味で英雄視される面もあった。
そうした洪景来が『雲が描いた月明かり』に登場するのも、ストーリーの展開上では興味深いことだった。
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