ホームドラマに欠かせないテーマ
韓国の母親は「息子を舐(な)めるように可愛がり、娘はほったらかして育てる」と言われる。
その結果、娘はたくましく育つが、息子はどうも頼りなく育ってしまう。それがまた、母親の悩みでもあるのだ。
その構図が『お父さんが変』では明確に描かれている。かつては『ソル薬局の息子たち』でも、長男が結婚できずに年を重ねて母親が病気になるほど心配する、というストーリーになっていた。
長く韓国ホームドラマを見ていると、「ダメ長男を極端に心配する母親」という構図が非常に多い。しかも、そういうドラマは概して視聴率が高い。いわば、人気を得る定番テーマなのだ。
言うまでもなく、ホームドラマの視聴者は中高年の女性が圧倒的に多い。そういう人たちも実生活で似たような境遇を抱えている。それだけに、ハラハラと感情移入しながら『ソル薬局の息子たち』や『お父さんが変』を見ることができる。
ドラマは実生活を映す鏡……という意味で、「ダメな長男+心配性の母親」というのは、ホームドラマに欠かせないテーマなのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)