朋道佳のイチオシ15『鬼<トッケビ>(原題)』

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神秘の世界の魅力的な物語

『鬼<トッケビ>(原題)』は2組の男女のラブストーリーを中心に描かれています。トッケビとウンタク、そして、死神とサニー(ユ・インナ)です。この2組のせつない恋愛が胸に迫り、ときに涙を誘います。
個人的にはサニーの恋心がとても好きでした。演じるユ・インナの小悪魔的な女っぽさと中盤からの抑え気味の演技がとてもよく、彼女が出演した作品の中で、最も魅力的だったのではないかと思わせるほどです。
そして、ウンタクに扮するキム・ゴウンの魅力も炸裂です。韓国特有の整い過ぎた美しさではなく、ナチュラルであどけないキュートさがなんとも可愛らしいのです。ふとした瞬間に見せる表情がキラリと光り、その美しさは神々しいほど輝いていました。
また、コン・ユとイ・ドンウクのカッコよさは言わずもがなですが、男性陣の中で特筆すべきはBTOBのユク・ソンジェでしょう。彼はこのドラマで演技ドルとしての才能を開花させました。
キム・ウンスクが長い間、コン・ユに出演オファーを出していたという記事を目にしましたが、それだけにコン・ユは、トッケビとして生きる寂しさや切なさ、時折見せるウンタクへのお茶目な恋心を見事に表現していて、視聴者の心を引きつけます。
イ・ドンウク演じる死神もまた、このドラマの大きなテーマになっています。
もしかしたら、こちらのほうがメインなのではないか、と思わせるほど大切な役割を担ったイ・ドンウクの演技にも、ぜひ注目してください。




死神は生前、ある大罪を犯したために死神になりました。
そして、数百年というとてつもなく長い年月をかけて罪を償ったのです。
神様は彼に何を教えたかったのでしょう。
それは、ドラマの終盤で死神自身によって語られます。
テーマからすると少々重いドラマのような気もしますが、ちょっとホラーなシーンや笑える場面も随所にあって、視聴者を飽きさせません。
また、このドラマには鬼、死神を超える大いなる存在が出てきます。
その存在がわかると、もう一度最初からこのドラマを見たくなってしまいます。
作品中に散りばめられたニクイ演出をまた新たに発見できるかと思うと、ドラマを見る楽しみが2倍、3倍になりそうです。
鬼、死神という想像上のキャラクターを見事に生かして作り上げたこの作品は、言葉では表現しきれない神秘の世界を人々の心に残した「歴史に残る名作」といえるでしょう。

文=朋 道佳(とも みちか)

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