保護本能を刺激する存在
『秋の童話』以降、ウォンビンは洗練された役を避ける傾向があった。実際、『ガン&トークス』『ブラザーフッド』『マイ・ブラザー』などの映画では、ジャンルも役の性格も違う作品に出演して、新しい演技を見せようと絶えず努力してきた。
それでも、ウォンビンが演じてきた人物を注意深く観察すると、ある共通点を見いだせる。すべての役が“保護されている”ということだ。
たとえば、『秋の童話』のテソクの場合、ボンボンで愛のためなら純粋に突進する役だったが、どこか憐憫を思い起こさせる子供のような感じを持っていった。ウォンビンの映画デビュー作となった『ガン&トークス』でも、どこか抜けているキラーとして、恐ろしさよりかわいさを感じさせる末っ子の役を演じた。
また、大ヒットした『ブラザーフッド』でも、戦争という極限の状況の中で兄から守られる弟の役を演じたし、『マイ・ブラザー』でも喧嘩は強いが、むしろ弱い兄に慰労されて愛される弟の役に扮していた。
ウォンビンがそのように「弟」の役、誰かに見守られて保護される役を担ってきたのは、やはり、彼の外見が大きく作用したと言わざるをえない。まるで小鹿を思わせるように大きくて潤った目、どこか弱く見える繊細な顔の線、よく整えられた長い手と足……それらは誰が見ても保護本能を刺激するものだった。
(次回に続く)
文=朴敏祐(パク・ミヌ)+「ロコレ」編集部